老朽化が甚だしいなら解除要件にもなりかねます。しかし、現実の判例などを見ますと、ボロボロでとても使えそうな建物でないと「老朽」となっていません。私が、この文面を拝読して一番最初に考えたことは、内装費の問題です。つまり「仮に老朽化によって契約解除が正当だとしても800万円もらうまでは引っ越ししない」と云うことが云えるかも知れない、と云うことです。民法608条や借地借家法33条をみますと賃借人が造作費などを支払っているいる場合には、解約時にその費用を賃貸人に請求できる、と云う規定があります。ここで問題となる点は、その造作を賃貸人が承諾していたかどうか、と云うことと、最初の契約に「造作費は放棄すること」などの条項はなかったかどうかです。仮に、後者の契約内容があったとしても一部の判例では「それは無効」と云うのもあります。次に、その「造作」とは何を指すか、と云う問題です。もともとその造作とは賃貸人のする維持管理に必要な費用なので、今回の場合には老朽している建物に手を加えることで少しでも延命されたとすれば、正に「造作」と云うことができます。
以上で、一次的には「老朽されていないので制約解除は不当である」と云い二次的に「造作費を支払うまで明渡しない」との主張はどうでしようか。現実には現況と照らし合わせ総合的に判断しなくてはなりませんが一応参考までにして下さい。